女性骨盤底医学の最前線
骨盤底弛緩と骨盤底トレーニング(PFMT)
排尿障害プラクティス Vol.14 No.3, 45-50, 2006
骨盤底トレーニング(PFMT)は骨盤底弛緩や性器脱の予防, 防止に有用で, 主に経産女性一般における骨盤底弛緩の発生予防や骨盤底弛緩の素因を持つ人の性器脱への進展防止, 整復術後の骨盤底支持力の強化などに用いられる. ペッサリーによる性器脱の非観血的整復とは異なり, PFMTは骨盤底筋群の支持能力を高めることで性器脱の中心的な病態生理に働きかけるという特色がある. 骨盤底筋の支持能力を高めることが難しい, もしくは支持能力を高めても全体として骨盤底の安定化を期待できない症例では, まず外科的な整復を優先すべきである. 【I 骨盤底支持とは】脊柱と下肢の骨格をつなぐ骨盤骨格は, 運動器の一部として重要であるとともに, 生殖や排泄において躯幹内部に位置する臓器に体外との出入り口を提供している. 四足哺乳動物の場合, その内部には骨格に囲まれた類縁型の通路があり, 出口は疎な結合織によって埋められており, 骨盤腔の出口は, 生殖や排泄などの物質の通過を果たす出入り口という明らかな性格をもっている. 一方, 立位で生活する生き物では, 骨盤腔の出口は通過性をもつだけでなく, 重力に抗する仕組をもつという特色がある.
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