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特集 心不全と臓器連関

臨床 心不全と肺循環障害

木下秀之

CARDIAC PRACTICE Vol.31 No.2, 34-40, 2021

左心疾患に肺循環障害が合併することは,最初は僧帽弁狭窄症において報告され,その後,弁膜症や心移植患者など,重症な左心不全患者での報告がなされてきた1)。近年では,より軽症の左室駆出率(left ventricular ejection fraction:LVEF)が低下した心不全(heart failure with reduced EF:HFrEF)や,LVEFが維持された心不全(heart failure with preserved EF:HFpEF)などにおいても肺高血圧症(pulmonary hypertension:PH)を合併することが報告されている1)。左心疾患にPHを合併する症例は予後不良であることが報告されており,病態解明と治療法の開発が求められている。また,肺疾患,特に慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)において,右室機能障害だけでなく,高率に左室機能障害が合併することが報告されている2)。さまざまな疾患や病態において,左心・右心機能,肺血管リモデリング,肺機能や構造の変化が,お互い影響しながら,病態の進行に関係し,自覚症状の悪化や予後に影響することが近年明らかとなってきており,今後さらなる治療法の開発が必要な領域である。
「KEY WORDS」心不全,肺高血圧症,肺疾患,右室機能,肺うっ血

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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