糖尿病の最小血管障害である糖尿病性腎臓病は末期腎不全のリスク因子であり1)2),大血管障害と並んで対策が課題となっている。現在,糖尿病性腎臓病のリスクを低下させることが知られている代表的な薬剤は,レニン・アンジオテンシン系阻害薬である。2001年に発表されたRENAAL試験がその効果を示した代表的な試験であるが,その後は糖尿病性腎臓病への治療効果が示された薬剤を認めなかった。
経口血糖降下薬であるナトリウム/グルコース共輸送体[(sodium glucoseco-transporter)2:SGLT2]阻害薬は,近年上市された新規の血糖降下薬である。近位尿細管におけるSGLT2を阻害することで,糸球体で濾過された糖の再吸収を阻害し尿へ排泄することで,血糖を低下させる作用をもつ。