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特集 心臓弁膜症:診断と治療の進歩

座談会 三尖弁閉鎖不全症に対する治療の展望

泉知里大門雅夫中谷敏夜久均

CARDIAC PRACTICE Vol.30 No.3, 49-55, 2020

三尖弁閉鎖不全症(tricuspid regurgitation:TR)は収縮期に右室から右房に血液が逆流する疾患であり,弁尖が原因で発症する一次性TRは少なく,多くの場合は機能的閉鎖不全(機能性TR)として僧帽弁閉鎖不全症(mitral regurgitation:MR)などに合併します。TRは原疾患の治療などで改善することもありますが,必要に応じて外科手術が選択されます。2014年に発表された米国のAmerican College of Cardiology/American HeartAssociation(ACC/AHA)ガイドライン1)では単独TRの手術が必要となるケースが示され,一次性TRで外傷,デバイス関連,感染性心内膜炎などの場合は症状があればクラスⅡa,症状がなくても進行性右室機能不全がみられるとクラスⅡbとして推奨されています(図1)。また,単独の機能性TRに関しては,僧帽弁術後遠隔期のTR,心房細動に伴うTRなどには,左心系弁手術後の単独TRで症状を有し,かつ高度右室,肺高血圧があり,左室機能不全がなければクラスⅡbとされています。なお,僧帽弁術後遠隔期TRと心房細動に伴うTRは,心房細動や弁輪拡大が主病態で慢性に経過するなどの共通点があることも知られています。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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