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特集 心臓弁膜症:診断と治療の進歩

トピック 拡張型心筋症の治療におけるMitraClip®の位置づけ

羽田佑天木誠

CARDIAC PRACTICE Vol.30 No.3, 44-48, 2020

拡張型心筋症は①左室のびまん性収縮障害,②左室拡大を特徴とする疾患群と定義され,基礎疾患や全身性の異常に続発した「二次性心筋症」を除外したものをいう1)。つまり前提として,冠動脈疾患による虚血によって生じた左室収縮障害と,左室拡大である虚血性心筋症は,厳密には区別される疾患群である。
拡張型心筋症は,心筋障害によって左室収縮能が低下し,1回拍出量を維持するために代償機転として左室拡大をきたす。代償機構が破綻すると心不全を繰り返すようになり,さらに左室拡大によって不整脈や血栓症の問題も引き起こし,予後不良となる。進行性の病気であり,薬物療法や心臓再同期療法(cardiac resynchronizationtherapy:CRT)などにより,その予後は改善傾向となってはきているものの,一方で,心臓移植となる重症心不全の原因疾患としては最多であり,植込み型補助人工心臓が必要となるケースも少なくない。
「KEY WORDS」機能性僧帽弁閉鎖不全症,至適薬物療法,心臓再同期療法(CRT),外科手術高リスク,ハートチームでのディスカッション

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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