特集 ガイドラインに基づいた心不全診療のスタンダード
臨床 診断フローチャート
CARDIAC PRACTICE Vol.30 No.2, 33-36, 2019
心不全診療の最初のプロセスである心不全診断は,いまだに容易ではない。左室駆出率の低下した心不全(heart failure with reduced ejection fraction:HFrEF)や左室駆出率が軽度低下した心不全(heart failure with mid-range ejection fraction:HFmrEF)は心不全をきたす原因となる心機能障害の検出が容易なため,心不全と診断をすることは難しくない。一方で,左室駆出率の保たれた心不全(heart failure with preserved ejection fraction:HFpEF)は病態の主となる拡張機能障害の検出が容易ではなく,腎不全など心不全と類似の症状を招く疾患を合併している高齢者に多いため,自覚症状の原因を心不全と判断することに苦慮することが少なくない。また,胸痛がなく心不全症状のみを訴える虚血性心疾患患者も見逃さないように努めなければならない。このたび公表された「急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)」に掲載されている診断フローチャートを基に,慢性心不全の診断に主眼を置いて概説する1)。
「KEY WORDS」病歴,患者背景,BNP,心エコー図検査
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。