以前は慢性心不全と急性心不全にガイドラインが分かれていたが,2017年の新ガイドライン制定を機に1つのガイドライン「急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)」1)にまとめられることとなった。これはおおむね海外[欧州心臓病学会(ESC)ならびに米国心臓病学会財団(ACCF)/米国心臓協会(AHA)]のガイドラインと足並みを揃えているものであり,合理的と考えられる。
この20年で多くの左室駆出率(LVEF)の低下した心不全に対する薬物・デバイス治療のエビデンスが積み上がった一方,LVEFの保たれた心不全に対しては,有効な治療法について十分に確立していないのが現状である。エビデンスに基づいた治療が求められている医療環境のなかで,LVEFを基準にした分類が現在の主流になっているのは十分理解可能である。
心不全の病気のステージングについては,「急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)」1)において,ACCF/AHAのステージ分類を基に,身体機能の時間経過での変化を図示しており,「心不全の一生」が一見して把握しやすいステージングを提示している。リスクの多い患者に対しては積極的に早期治療介入を推奨すると同時に,緩和・終末期ケアまで心不全治療の一部として明記している。本稿では,大きく変わった心不全分類とステージングについて概説する。
「KEY WORDS」HFrEF,HFpEF,CS分類,Nohria-Stevenson分類