左室駆出率(LVEF)が低下した心不全(Heart failure with reduced ejection fraction;HFrEF)に対してはアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬・アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)・ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(mineralocorticoid receptor antagonist;MRA)などのRAA系抑制薬やβ遮断薬が,軽症から重症までのHFrEF患者の予後を改善するというエビデンスをふまえ推奨される。1990年代以降に行われた数多くの大規模臨床試験によって,β遮断薬は幅広い重症度のHFrEF患者において生命予後を改善することが明らかにされ第1選択薬に位置づけられている(図1)1)-4)。β遮断薬のなかで心不全の予後改善のエビデンスを有するのは,カルベジロール,ビソプロロール,コハク酸メトプロロール,ネビボロールの4剤であるが,このうちわが国で承認されているのはカルベジロールとビソプロロールのみである2)-4)
本稿では,日本人の慢性心不全患者を対象としてビソプロロールとカルベジロールの忍容性,安全性ならびに有効性を比較検討したCIBIS-J(The Cardiac Insufficiency BIsoprolol Study in Japanese Patients with Chronic Heart Failure)試験について概説する。