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特集 神経システムと循環器疾患

座談会 脳心連関から制御する神経疾患と循環器疾患

樂木宏実苅尾七臣櫻井孝茂木正樹

CARDIAC PRACTICE Vol.30 No.1, 55-62, 2019

樂木 本日は脳心連関という概念をテーマとして取り上げます。脳卒中や認知症といった脳疾患と心不全や高血圧などの循環器疾患について,それぞれのご専門の立場からお話しいただければと思います。
まず苅尾先生,高血圧あるいは心疾患の観点からお話しいただけますでしょうか。
苅尾 循環器疾患を診療していると,脳卒中の既往があったり,外科の術前検査で深部白質病変が認められたり,無症候性脳梗塞が進行していたり,あるいは認知機能などを評価するミニメンタルステート検査(Mini-Mental State Examination:MMSE)やMoCA-J(Montreal Congnitive Assessment日本語版)で認知機能低下が認められることはよく経験します。一方,脳梗塞既往や認知症の症候性病変がある方は,日内変動の障害が生じています。
これらの連関を考える上で,両者の最も重要な背景要因として高血圧があり,その背景には血管障害があると思われます。大血管系の血管が軟らかければ,血管壁を押す力が吸収されるため,心臓の負担は軽減します。しかし,血管が硬ければ拡張せず,エネルギーが吸収されることなく脳に至り,プラークがあれば脳卒中,なくても深部白質病変が進行していきます。
高血圧は脳に対しても心臓に対してもパラレルに動きますし,血管系,特に上行大血管のstiffnessが亢進すると,さらに病態が進行します。また交感神経が亢進すると,血圧およびその変動を増強させますから,脳心連関は交感神経系と大血管の硬さが機序としてあると考えられます。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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