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特集 神経システムと循環器疾患

トピック 心・脳・腎連関を介した組織マクロファージの活性化による心臓恒常性維持機構

藤生克仁

CARDIAC PRACTICE Vol.30 No.1, 51-54, 2019

心疾患の診療に携わっていると,腎疾患を合併している患者と日常的に遭遇する。腎機能が低下した心疾患患者は,腎機能悪化を危惧し造影剤を使用した検査ができないことがよくある。このように検査に制限があることから,心疾患の診療に支障が生じることで,どうしても治療が後手に回り,心疾患がさらに悪化するという悪循環になってしまう。これまでのさまざまな報告を総合すると心機能が腎機能に影響を及ぼし,腎機能が心不全の発症に影響を及ぼすことは明らかである(図1)1)-4)。その根底には,そもそも心臓が腎臓の機能を補助し,腎臓もまた心臓を補助するといった概念である心腎連関という臓器間連携の存在がある。さまざまな大規模臨床試験の結果からもその存在は明確であるが,特に腎臓がどのように心臓を保護しているのかという点については不明な点が多い。本稿ではわれわれが最近同定した心臓・脳・腎臓間のネットワークによって心臓がストレスを乗り切り恒常性を維持している新しいメカニズムについて焦点を絞り解説する。
「KEY WORDS」アンフィレグリン,臓器間連携,組織リモデリング,心肥大,心不全

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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