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特集 腸内細菌と循環器疾患

臨床 心腎連関と腸内細菌叢

三島英換阿部高明

CARDIAC PRACTICE Vol.29 No.4, 39-43, 2019

慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)は糖尿病,高血圧,慢性糸球体腎炎などを原疾患として慢性の経過で腎機能が徐々に低下していく進行性の病態であり,今やわが国の成人の8人に1人が発症する国民病である。CKDの進行は透析治療が必要となる末期腎不全に至るだけでなく,心不全や心筋梗塞などの心血管イベントの発生率も高める。疫学的にもCKDは心血管疾患の独立した危険因子であることが知られている。一方で,心機能の低下は腎障害の発症や増悪因子となるため,心血管疾患患者ではCKDの有病率が高い。したがって腎臓と心臓は互いに密接に関連しており腎臓と心臓の臓器連関である「心腎連関」が提唱されている。心腎連関が生じる機序としては循環動態やレニン―アンジオテンシン系をはじめとしてさまざまな経路が関与しているが,近年,腸内細菌叢の関与も明らかになっており,腸管を加えた臓器連関として「腸―心―腎連関」が注目されている(図1)。
「KEY WORDS」尿毒素,インドキシル硫酸,p-クレシル硫酸,トリメチルアミン-N-オキシド

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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