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特集 循環器疾患を見据えた糖尿病治療戦略

座談会 糖尿病における心血管管理/循環器疾患における血糖管理

野出孝一伊藤浩桑原宏一郎室原豊明

CARDIAC PRACTICE Vol.29 No.3, 77-83, 2018

野出 本日は糖尿病における心血管管理および循環器疾患における血糖管理について,最近の糖尿病薬に関する大規模研究を含めて,エキスパートの先生方にご意見を伺い,今後の糖尿病治療の方向性を考えていきたいと思います。
糖尿病は動脈硬化疾患や心不全のリスクが極めて大きいため,リスクが最も高い生活習慣病の1つです。わが国において糖尿病患者数は増加していますので,今後心血管疾患の予防を考える上でも糖尿病治療は重要です。糖尿病における循環器疾患予防の観点からは,HbA1c低下に加えて,血糖変動やインスリン抵抗性など血糖の質の改善がまず必要であろうと考えています。また低血糖の回避が不整脈,心不全などの予防につながりますし,血糖降下薬自体のプラスαの作用も考えていくべきだと思います。
現在,糖尿病薬として世界中でメトホルミンが使われています。米国糖尿病学会(American Diabetes Association:ADA),欧州糖尿病学会(The European Association for the Study of Diabetes:EASD)のガイドラインでは糖尿病に対する第一選択はメトホルミンとなっています。わが国のガイドラインでは第一選択として位置づけられてはいませんが,現実的には投与されることの多い薬剤だと思われます。そこで,まず糖尿病における血糖管理,特に心血管イベント予防のための血糖管理のポイント,およびメトホルミンの位置づけなどについて先生方にお考えをお聞きしたいと思います。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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