特集 循環器疾患を見据えた糖尿病治療戦略
トピック 大規模臨床試験を踏まえた,循環器疾患に対するDPP-4阻害薬の作用
CARDIAC PRACTICE Vol.29 No.3, 51-55, 2018
Dipeptidyl peptidase(DPP)-4阻害薬は,インクレチンの分解を促進するDPP-4の働きを阻害することでインスリン分泌を制御する。この薬理作用から,血糖降下作用のみならず心保護などが期待され,国内では約10年前から入手可能となった。そして,従来の経口血糖降下薬と比較して,低血糖などの重大な副作用発現率が低い,安全性の高い薬剤として処方され,経口血糖降下薬のうち大半のシェアを占めている1)。しかし,近年発表された心血管イベントをアウトカムにおいた大規模臨床試験の結果には,その使用に一考が必要となる結果を示すものもあった。本稿ではすでに発表されている心血管イベントに注目しプラセボと比較した大規模臨床試験の結果を示し,その心血管への影響について考えていきたい。
「KEY WORDS」DPP-4阻害薬,大規模臨床試験,心血管リスク
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。