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特集 循環器疾患を見据えた糖尿病治療戦略

トピック 心血管イベント抑制を見据えたピオグリタゾン

海老名秀城宮内克己

CARDIAC PRACTICE Vol.29 No.3, 47-50, 2018

ピオグリタゾンは脂肪細胞分化の主調節因子であるperoxisome proliferator-activated receptor(PPAR)γの強力なアゴニストで,PPARγに作用し,脂肪細胞の分化を促進,肥大化した脂肪細胞を小型脂肪細胞に正常化させる。さらに,筋肉・肝臓・脂肪での糖の取り込みを促進,肝臓で糖新生を抑制することで血糖値を低下させる。また,炎症を惹起する腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor:TNF)-α,interleukin(IL)-6などの炎症性サイトカインを低下させるとともにマクロファージの成熟・活性化作用を抑制し,さらに内皮機能改善作用のあるアディポネクチンを上昇させるなど血管保護を有することが報告されている1)。ピオグリタゾンは血糖降下薬でありながら,多面的に影響する抗炎症や内皮機能保護を認めることから動脈硬化進展抑制や心血管事故を抑制することが期待され,多くの大規模臨床試験が実施されている。そこで本稿ではピオグリタゾンのこれまで実施された臨床試験について概説する。
「KEY WORDS」ピオグリタゾン,PROactive試験,PERISCOPE試験

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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