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EBM Hot Flash

「CANTOS」

小川久雄

CARDIAC PRACTICE Vol.29 No.2, 62-64, 2018

動脈硬化における炎症の重要性は1990年代より指摘されてきた。CANTOS試験のprincipal investigatorであるPaul M. Ridkerは1997年から炎症のdownstream biomarkerであるC-reactive protein(CRP)がコレステロール値とは無関係に心血管疾患発症のリスクであることを証明してきた。筆者はこの頃から彼の仕事に注目していた。筆者にとって決定的だったのは,彼が2008年にJustification for the Use of Statins in Prevention:an Intervention Trial Evaluating Rosuvastatin(JUPITER)試験1)を米国心臓協会(American Heart Association:AHA)のLateBreaking Clinical Trialsで発表してからである。内容は心血管疾患の既往のない低比重リポ蛋白(low density lipoprotein:LDL)-cholesterol<130mg/dL , high-sensitivity CRP(hsCRP)≧2.0mg/Lの17,802例を対象として,ロスバスタチン20mg/日投与群とプラセボ群を比較したところ,2年間で致死的・非致死的心筋梗塞,致死的・非致死的脳卒中,血行再建術,不安定狭心症による入院,全死亡を有意に抑制したという結果であった。LDL-cholesterolがほぼ正常範囲でもCRPが高いというだけでスタチンが心血管イベントを抑制したという結果は,CRPが心血管イベントのリスクファクターであることを示唆したものであった。筆者も同じsessionで彼に続いて糖尿病患者に対するアスピリンの効果を検討したJPAD試験2)を発表した。AHAが1番活発なときで聴衆は約1万人であった。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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