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特集 脂質異常と冠動脈疾患

座談会 心血管イベント抑制のための脂質統合的管理と展望

宮内克己池脇克則吉田雅幸平野勉

CARDIAC PRACTICE Vol.29 No.2, 55-60, 2018

宮内 本日は「心血管イベント抑制のための脂質統合的管理と展望」をテーマとして,二次予防におけるさらなるイベントリスク抑制に向けてのアプローチや,脂質と炎症の観点からみた残余リスクの問題について,エキスパートの先生方に討論いただきたいと思います。
まず,2010年から開始されたREAL-CAD試験についてご紹介します。本試験では,冠動脈疾患(coronary artery disease:CAD)の既往がある20~80歳の日本人患者を対象に,心血管死と非致死性心筋梗塞,非致死性脳梗塞,緊急入院を要する不安定狭心症を主要評価項目として,ピタバスタチン高用量(4mg/日)による心血管イベントの再発予防効果について標準用量(1mg/日)との比較を行いました。
方法は,登録患者全例にピタバスタチン1mg/日を1ヵ月間投与し,LDL-Cが120mg/dL未満に低下した13,054例を,標準用量群または高用量群にランダムに割り付け,3.9年(中央値)にわたって追跡しています1)
その結果,LDL-Cは,標準用量群ではベースラインの88.1mg/dLから3年後に91.0mg/dLと横ばいで推移しましたが,高用量群では87.8mg/dLから半年後には73.7mg/dLに有意に低下し,3年後も76.6mg/dLまで維持されました。HDL-C,中性脂肪(TG)は両群間で差はみられませんでしたが,高感度C-reactive protein(CRP)は高用量群で0.57mg/dLから6ヵ月後には0.49mg/dLと有意に低下しています。
そして,主要評価項目の累積イベント発生リスクは,標準用量群に比べて高用量群で19%と有意に低下する結果となりました。非致死性脳梗塞では差が出ませんでしたが,非致死性心筋梗塞については43%減少し,心血管死も22%の減少が得られています。
現在,『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版』では,二次予防のLDL-C管理目標として,糖尿病やCKD,メタボリックシンドロームなどを併発する場合は,従来の100mg/dLより厳格な70mg/dL未満を考慮すべきと示しています2)。その観点でも,今回の結果からは,ハイリスク例における高用量スタチンのLDL-C低下効果が期待できるのではないかと思います。
このREAL-CAD試験の結果について,先生方はどのような印象をもたれたでしょうか。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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