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循環器疾患研究を支えた人々

「延吉正清」

木村剛

CARDIAC PRACTICE Vol.29 No.1, 72-73, 2018

延吉正清先生はソーンズ法による冠動脈造影,エルゴノビン負荷による冠攣縮の診断,心筋梗塞の再灌流療法, 経皮的経管的冠動脈形成術(percutaneous transluminal coronary angioplasty:PTCA),冠動脈ステントなど冠動脈領域での新たな検査・治療にいち早く取り組まれた冠動脈インターベンションのパイオニアであり,またそれを日本全国に普及させるという大きな功績を挙げられました。特に,新たな侵襲的検査や治療の導入においては多少の障害があっても怯むことはありませんでした。エルゴノビン負荷で3枝の冠攣縮が誘発され心室細動で1時間近くの蘇生を行った後もエルゴノビン負荷を止めることはありませんでした。心筋梗塞の急性期に冠動脈造影は危険であると強い批判を受けましたが,それにもめげず冠動脈内血栓溶解療法やprimary PCIという冠動脈再灌流療法を確立されました。PTCAの導入初期には急性冠閉塞で緊急手術となることもしばしばありましたが,PTCAを止めることはなく技術の向上で問題を解決されました。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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