特集 循環器内科医が知っておくべき脳卒中診療
トピック Embolic Stroke of Undetermined Source(ESUS)
CARDIAC PRACTICE Vol.29 No.1, 51-54, 2018
ESUSとは,embolic stroke of undetermined sourceの頭文字をとった略語であり,塞栓源不明の脳塞栓症という意味である。すなわち,画像所見などから脳塞栓症と考えられるが,通常のスクリーニング検査では塞栓源が同定できない症例がESUSである。原因不明の脳卒中は潜因性脳卒中(cryptogenic stroke)と呼ばれているが,虚血性の潜因性脳卒中のうち,脳塞栓症と考えられる症例がESUSに該当する。なお,筆者は「潜因性脳塞栓症」という和訳を提唱している。近年,脳卒中の画像診断と病態生理学の進歩により「潜因性」の再定義が急務になったが,潜因性脳卒中という用語は診断評価の程度に依存してしまい,特定された原因には標準化された基準が存在せず,定義が曖昧であった。そこで,脳卒中を専門とする神経内科医の国際的なワーキンググループ(Cryptogenic Stroke/ESUS International Working Group)が組織され,ESUSの実用的な疾患概念を提唱することとなった1)。著者もこのワーキンググループの一員である。
「KEY WORDS」潜因性脳卒中(cryptogenic stroke),抗血栓療法(antithrombotic therapy),脳卒中二次予防(secondary stroke prevention)
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。