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特集 再生医療・遺伝子治療

基礎 ヒトiPS細胞を用いた心臓再生医療実現化における現状と課題

遠山周吾福田恵一

CARDIAC PRACTICE Vol.28 No.3, 23-27, 2017

末期重症心不全はきわめて予後が悪く,内科的治療抵抗性を示すため,心臓移植が唯一の根本的治療法である。しかしながら,移植治療における成績に関しては向上しているとはいえ,ドナー不足が深刻である状況が続いているため,心臓移植治療を受けるまでの待機期間は平均で約3年であり,その間に亡くなる方も多いのが現状である。そこで,心臓移植治療の代替治療法としてヒト人工多能性幹(iPS)細胞を用いた心臓再生医療が注目を浴びている。
ヒトiPS細胞を用いた心臓再生医療を具現化する上での最大の障壁の1つが,細胞移植後に腫瘍形成を来たすリスクがあることである。現状においてヒトへの臨床応用を実現化させるためには,数億個もの大量の心筋細胞を移植する必要があることはいうまでもないが,大量の心筋細胞の移植に伴い,残存未分化幹細胞や心筋細胞以外の増殖細胞が混入してしまう可能性がある。
「KEY WORDS」心筋細胞,iPS細胞,心臓再生医療,代謝,純化精製,移植

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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