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致死的な転帰を示した広範性肺動脈血栓塞栓症

CARDIAC PRACTICE Vol.28 No.1, 7-11, 2017

病理解剖の依頼にもしばしば来院時心肺停止(cardiopulmonary arrest on arrival:CPAOA)の症例が含まれている(病死が明らかで事件性のないことを前提に病理解剖が許される)。東京都監察医務院の行政解剖の集計によると心血管病による突然死では虚血性心臓病,大動脈瘤,大動脈解離に次いで肺動脈血栓塞栓症(pulmonary thromboembolism)の頻度が高い1)。わが国の肺動脈血栓塞栓症の発症数は人口100万人当り年間61.9人と報告されており,米国ですでに1990年代に690人と報告されていることに比べるとはるかに少ないが,それでも過去10年間に2倍以上に増加しており,年間の発症数は8,000人程度と推定されている2)。欧米での高い頻度は強い危険因子となる先天性の凝固・線溶因子の異常症,特にわが国で報告例のない活性化プロテインC抵抗性(第V因子Leiden変異R506Qにより活性化プロテインC抵抗性を示す。プロテインCは凝固因子カスケードにnegative feedbackをかける抗凝固因子)やプロトロンビン遺伝子変異(G20210A変異)などによると考えられている3)。一方,わが国では大きな自然災害が相次ぎ車中泊などの避難生活者にいわゆるエコノミークラス症候群(旅行者血栓症)として知られる静脈血栓症を生じることが社会問題としても広く啓発されている4)。

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抄録