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リレーエッセイ:MENTORING―Message to Next Generation

マズローのハンマー

矢﨑義雄

CARDIAC PRACTICE Vol.26 No.4, 72-73, 2015

約10年前に,大学が大学院重点化により,医学部の教育体制が改組され,講座および診療科が臓器別,あるいは疾患別に再編されて今日に至っている。この大学院重点化が大学の使命である医学研究の推進と医療の高度化に果たした役割は大変大きかった。しかし医学教育の視点からは,授業や臨床実習が専門分化され,統合的なアプローチからの診療が困難となり,卒後医師臨床研修が制度化された要因にもなっている。特に,循環器内科で診療する疾患や病態は多彩で多様であり,患者の年齢層も幼児から高齢者まで幅広いことに加えて,日常診療で用いられる手技も,心電図などの非侵襲的な検査法から,カテーテル検査や治療など侵襲的な手技に至るまで多岐にわたっている。さらに,生命を直接脅かす急性期の迅速な診断と治療が必要な疾患から慢性期の疾病管理まで,実に広範な知識と技術が求められている。しかも,進歩が最も速い領域でもあり,常に新しい知識を学習することも求められている。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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