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循環器疾患研究を支えた人々

日和田邦男(ひわだくにお)

大蔵隆文

CARDIAC PRACTICE Vol.26 No.3, 76-77, 2015

私が1986年に愛媛大学医学部第二内科に入局した頃は,初代教授である故 國府達郎先生の下,レニン阻害薬の開発を目指し,先輩医局員が昼夜なく研究に没頭していた時期です。その実働部隊の先頭を走っておられたのが当時助教授であった日和田邦男先生です。レニンは種族特異性が高く,マウスやラットではヒトレニンの生体内研究ができず,入局当初医局で,マーモセットが飼われていたことを懐かしく思い出します。レニン阻害薬の研究はヒトへの投与まで進みましたが,薬物のBioavailabilityが極めて低く,すでにACE阻害薬さらにはアンジオテンシン受容体拮抗薬の開発がなされ,残念ながら当科でのレニン阻害薬の開発は断念されました。1988年に國府教授から第二内科の舵取りは日和田先生に託されました。日和田先生は,持ち前の決断力の速さを発揮され,基礎研究においてはご自身が最も得意とされた生化学的研究をすぐさま分子生物学的研究に転換されました。私自身も1990年に大学に戻り,分子生物学的研究を行わせていただきました。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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