EBM Hot Flash
PARADIGM-HF試験
掲載誌
CARDIAC PRACTICE
Vol.26 No.2 64-66,
2015
著者名
筒井 裕之
記事体裁
抄録
疾患領域
循環器
診療科目
循環器内科
媒体
CARDIAC PRACTICE
駆出率が低下した心不全(heart failure with reduced ejection fraction:HFrEF)の標準治療としては,生命予後の改善を目指して,ACE阻害薬またはアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)とβ遮断薬を併用し,さらにミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)を追加する。LCZ696は,ARBバルサルタンとネプリライシン阻害薬の2つの作用からなる化合物(Angiotensin Receptor-Neprilysin Inhibitor:ARNI)であり,アンジオテンシンⅡ受容体拮抗作用と同時にBNPなどの内因性ナトリウム利尿ペプチドの分解にかかわる中性エンドペプチダーゼ(NEP)のネプリライシンを阻害し,それらを増加させる。Prospective comparison of ARNI with ACEI to determine impact on global mortality and morbidity in heart failure(PARADIGM-HF)試験は,NYHA心機能分類Ⅱ度以上,左室駆出率(left ventricular ejection fraction:LVEF)40%以下のHFrEF患者8,442例を対象に,LCZ696 200mg 1日2回投与群または,エナラプリル 20mg 1日2回投与群にランダムに割り付けた1)。対照薬のエナラプリルは,HFrEFの生命予後改善が最初に証明された標準治療薬の代表である。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。