循環器疾患研究を支えた人々
井上寛治(いのうえかんじ)
掲載誌
CARDIAC PRACTICE
Vol.25 No.2 78-79,
2014
著者名
木村剛
記事体裁
抄録
疾患領域
循環器
診療科目
循環器内科
/
心臓血管外科
媒体
CARDIAC PRACTICE
井上寛治先生はイノウエバルーンを用いた経皮経静脈的僧帽弁交連裂開術(Percutaneous Transvenous Mitral Commissurotomy : PTMC)を全世界に普及させたことで広く知られている. 日本人で基礎研究, 臨床研究において膨大な論文業績のある循環器疾患研究者は多いが, 独自の発想で医療機器を開発し, それを世界が認めた研究者となると井上寛治先生に並ぶ者はない. その業績は経皮的経管的冠動脈形成術(Percutaneous Transluminal Coronary Angioplasty : PTCA)を開発したAndreas Gruentzigの業績に勝るとも劣らない. イノウエバルーン開発の歴史を辿ってみると驚かされることが多い. 井上寛治先生は1970年に京都大学を卒業されたが, 大学病院の研修医時代にFogartyのバルーンカテーテルによる血栓除去術を見て, 「簡単な1本のバルーンカテーテルが外科医の熟練した技量に勝り, しかも患者に与える侵襲もはるかに少ないという事実は, これから技量を磨き外科医として大成したいと強い希望を抱いていた筆者に強い衝撃を与え, 以後バルーンカテーテルに興味を抱くようになった」と述べておられる.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。