【特集 肺高血圧症―日本から何が発信できるか】
各論 あらためて肺性心を考える
掲載誌
CARDIAC PRACTICE
Vol.24 No.1 55-59,
2013
著者名
山田修
記事体裁
抄録
疾患領域
循環器
/
呼吸器
診療科目
循環器内科
/
呼吸器内科
媒体
CARDIAC PRACTICE
「はじめに」1963年のWHOの肺性心の定義では「肺の機能や構造を侵す疾患に由来する右室の肥大, ただしこれらの病変がまず左心を侵す病変もしくは先天性心疾患に基づく場合を除く」とされている1). Gomberg-Maitlandは肺性心を「肺疾患, 呼吸不全, もしくは環境の低酸素に伴う右室の肥大と不全の組み合わせ」としているが, このあとの病因論の項目には特発性肺動脈性肺高血圧(IPAH)や血栓塞栓性肺高血圧は挙げられていない2). 上記二者では換気/呼吸障害性の肺高血圧(PH)を念頭に置いているようである. 一方, Budevの総説では原因疾患にIPAH他の肺血管疾患を含めている3). 本稿では広い意味での肺性心, すなわち後負荷である肺血管抵抗の上昇により肥大/不全に陥った右室を取り扱う. 肺性心の最も多い原因疾患である慢性閉塞性肺疾患(COPD)では進行の著しい場合を除いてPHの程度は強くないために, 右心不全が臨床的に問題になることは少ない.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。