特集 超高齢社会と循環器疾患―アンチエイジング
トピックス 循環器領域におけるアンチエイジングに関する最近の話題
Recent topics of anti-aging in the field of cardiovascular diseases
CARDIAC PRACTICE Vol.23 No.3, 23-27, 2012
「はじめに」循環器領域, 特に血管年齢に対するアンチエイジングのトピックスとして, 本稿では血管炎症あるいは石灰化の制御を取り上げる. 血管の炎症制御は血管内皮機能低下や動脈硬化の進展抑制に重要であるが, アンチエイジングの視点から最近のトピックスを概説する. また, 血管石灰化の最近の分子生物学的な理解と治療への応用に関しても取り上げる. 「血管炎症抑制と寿命」血管内皮細胞は血管組織の最も内側に存在し, 成人では1013個の血管内皮細胞が存在し, 約1kgの重量となる. 全身の血管と血液成分のちょうど境目の層となることから, 血管内皮細胞は血管透過性の調節を含めたバリアー機能を担っているが, 同時に血管内皮細胞へのさまざまなストレス刺激がサイトカインや増殖因子, あるいは接着因子の発現変化を及ぼすことで血管機能不全の最初の機転となることが知られている. 近年, この炎症性サイトカインあるいは接着因子の転写発現のマスターレギュレーターである転写因子NFκBの活性を内皮細胞特異的に抑制したマウスが作成され, 報告されている1).
「KEY WORD」血管炎症,寿命,血管石灰化,エストロゲン
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。