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リレーエッセイ:MENTORING―Message to Next Generation

一寸光陰不可輕

永井良三

CARDIAC PRACTICE Vol.23 No.2, 102-103, 2012

大学で臨床, 教育, 研究, 病院運営に携わり, 38年が経つ. 医学への夢は今も変わらないが, 人生の残り時間が少なくなると, これまでの仕事の意味を考えるようになる. 多くのことを経験してきたので, 次世代へのメッセージを綴ることは楽しくもあるが, 複雑な思いも湧き上がってくる. あらためて, 少年易老學難成 一寸光陰不可輕 未覺池塘春草夢 階前梧葉己秋聲 と観じた詩人の言葉に粛然とする. 若いときに鍛えておくべき第1は, 「読む」, 「書く」, 「話す」, 「考える」力である. 近代社会は「調べて書く」ことから成り立っている. 内容は必ずしも学術的に高い必要はない. 症例報告, あるいは地域の医療や自分の病院のあり方でもよい. 現状を調査し, 文書で報告する. 自分より若い方々への指導も重要である. 「調べて書く」プロセスは, 疑問をもつ→課題を設定する→仮説を立てる→検証する→分析する→新たな課題を設定する, あるいは新たな仮説を立てる, という順に従う.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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