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特集 交感神経と循環器疾患Revisited

臨床 睡眠呼吸障害と交感神経

Sleep Disordered Breathing and Sympathetic Nerve System

安藤真一

CARDIAC PRACTICE Vol.23 No.2, 81-86, 2012

「はじめに」 睡眠呼吸障害(SDB)が広範囲の循環器系疾患の発症・増悪と強い関連をもっていることが明らかになり, わが国の循環器学会においても2010年末に循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドラインを発表し, 日常診療にSDB診断を取り入れる重要性を強調した. SDBのうち, 閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)では, 繰り返す胸腔内圧の強い陰圧化が物理的に心機能を障害することが報告されているが, それと同時に繰り返して生じる覚醒や低酸素状態はOSA・中枢性睡眠時無呼吸(CSA)を問わず, 自律神経活動に変化をもたらすことによって, 循環制御系に悪影響を与えていると考えられるようになった. 交感神経機能の亢進は高血圧の発症や心不全の悪化, また不整脈の発生などに関与しているものと考えられているが, 本稿ではこれらのうちSDBに伴う交感神経の機能障害について概説する. 「SDBでの交感神経機能異常の研究」 気道が閉塞して, 一晩中非常な呼吸努力を繰り返しているOSA患者で夜間に交感神経活動が亢進しているであろうことは容易に推測されると思われるが, こうした異常呼吸は夜間睡眠中にのみ生じている事象であり, 正常な呼吸を行っている昼間に亢進することはないはずである.
「KEY WORD」Sleep Disordered Breathing,Sleep Apnea Syndrome,Sympathetic Nerve System

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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