特集 交感神経と循環器疾患Revisited
臨床 不整脈と交感神経
Cardiac Arrhythmias and Sympathetic Nervous System
CARDIAC PRACTICE Vol.23 No.2, 77-80, 2012
「はじめに」 交感神経刺激はさまざまな頻脈性不整脈の発症を促進する. 身体的および精神的ストレスによる交感神経活動の亢進は心室性不整脈発生のトリガーとなり, 時に突然死をも起こし得る. 先天性QT延長症候群やカテコラミン誘発性心室頻拍などの不整脈疾患では, 交感神経と心事故発生の関連が特に重要である. 心房細動の発症と維持には交感神経と迷走神経の活動が複雑に関係し, その影響は心房のリモデリングの存在下では変化する. 「交感神経刺激による心筋細胞の電気生理学的変化」 交感神経終末から放出されたカテコラミンは心筋細胞のαおよびβ受容体に結合し, 電気生理学的変化をもたらす. β1受容体への刺激は, 促進性G蛋白を介してアデニル酸シクラーゼを活性化し, cAMPを産生する. cAMPはプロテインキナーゼAを活性化して細胞膜イオンチャネルをリン酸化し, 活性化する. α1受容体への刺激は異なるG蛋白を介してホスホリパーゼCを活性化し, イノシトール三リン酸を産生して筋小胞体からのカルシウム放出を促進する.
「KEY WORD」交感神経,心室頻拍,心室細動,先天性QT延長症候群,カテコラミン誘発性心室頻拍,心房細動
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