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特集 交感神経と循環器疾患Revisited

臨床 高血圧と交感神経

Hypertention and Sympathetic Nervous System

井上卓大屋祐輔

CARDIAC PRACTICE Vol.23 No.2, 55-60, 2012

「はじめに」 交感神経系は, レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系と並び, 血圧の調節異常である高血圧症の病態において最もキーとなる循環調節系である. 交感神経活動の中枢は, 脳幹部の血管運動中枢である頭側延髄腹外側野に存在し, 交感神経活動を規定することで循環調節を行っている. 近年の研究成果により, 中枢性交感神経系の調節異常による交感神経系の活性化が, 高血圧発症およびその維持に深く関与していることがわかってきた1). 交感神経活性亢進は, 本態性高血圧患者の50%に認められ2), 心血管系障害のマーカーであり, 心血管イベントおよび死亡のリスク増加と関連している3). にもかかわらず, 高血圧の病態における交感神経系の役割については, これまで軽視されがちであった. ヒトにおける臨床的に使用可能な交感神経指標としては, 123I-MIBG心筋シンチ, 血中および尿中カテコラミン濃度, 心拍変動などがあるが, 心拍数も一般集団および心血管疾患患者の双方における検討で, 交感神経活性亢進のマーカーであることが示されている4).
「KEY WORD」高血圧,交感神経,心拍数,予後

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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