特集 交感神経と循環器疾患Revisited
各論 腎臓における交感神経調節
Sympathetic nerve regulation and the kidney
CARDIAC PRACTICE Vol.23 No.2, 41-48, 2012
「はじめに」 本態性高血圧の病態の本質は, 中枢神経系による末梢交感神経活動の亢進にあると考えている. 本態性高血圧のうち食塩感受性のタイプでは, 高Na血症・高血漿浸透圧という情報を脳弓下器官や視床下部の終末板というニューロン(神経細胞)が感知して, 室傍核を興奮させ, 延髄の交感神経中枢(rostral ventrolateral medulla:RVLM)の神経細胞を興奮させる. これにより心臓, 血管, 腎臓など末梢への遠心性交感神経活動が亢進して, 血圧が上昇する. 一方, レニン・アンジオテンシン系が亢進するタイプでは, アンジオテンシンII(Ang II)血漿濃度の上昇を脳弓下器官のニューロンが感知して室傍核が興奮し, 血圧が上昇する. また, Ang IIがRVLMニューロンを刺激して, 血圧を亢進させている可能性もある. 腎神経を焼灼(アブレーション)することにより, 本態性高血圧患者の血圧を低下させたという報告から, 腎臓からの求心性神経とともに, 交感神経調節における中枢神経系の重要性が再認識される.
「KEY WORD」交感神経中枢ニューロン,圧受容器反射,食塩感受性,求心性腎神経,中枢神経系,終末板,脳弓下器官,室傍核
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。