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特集 交感神経と循環器疾患Revisited

各論 心臓における交感神経調節

Sympathoadrenal regulation in the heart

吉川勉

CARDIAC PRACTICE Vol.23 No.2, 35-39, 2012

「はじめに」交感神経は循環調節において, 最も重要な役割を果たすことが古くから知られている. 近年の分子生物学的研究の成果によって, その受容体の役割や心筋細胞内シグナル伝達系も次々と明らかにされてきた. 交感神経による循環調節機構は循環器疾患の病態を理解する上できわめて重要である. 本稿では, 交感神経の循環調節機構とその受容体シグナル伝達について概説する. 「生体内における交感神経系の調節機構」 生体内において交感神経緊張亢進は心拍数・心収縮性増加を惹起する. 交感神経系の緊張亢進が過度とならないよう, 生体内には精巧な調節機構が備わっている. このなかで最もよく研究されているのが, 頸動脈洞に存在する圧受容体である. 何らかの理由により血圧が上昇すると, この部位に存在する圧受容体が刺激され副交感神経求心路・延髄孤束核を介して副交感神経が刺激される. その結果, 心拍数が減少し, 心収縮は減弱することになる.
「KEY WORD」アドレナリン受容体,ノルアドレナリン,心不全,遺伝子多型,レニン・アンジオテンシン系

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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