リレーエッセイ:MENTORING―Message to Next Generation
米国の医学教育を真似しようとして,真似できてない日本
CARDIAC PRACTICE Vol.23 No.1, 110-111, 2012
新臨床研修制度が始まって, もう何年になるだろうか? この制度について多くの先生から聞く話は, 医療崩壊や大学への入局が少ないなどnegativeな話だけである. 確かに, ある面ではこの制度はうまく機能してないようである. この研修制度のどこに問題があるのであろうか? 私は1973年に九州大学を卒業して, すぐ渡米し, インターン, レジデント, フェローと臨床医学教育を米国で受け, さらにはAssistant ProfessorとなりAttendingとして病棟の回診や, 研修医教育, 学生教育に携わってきた経験(計7年間)を基に, 何故わが国の研修制度がうまく機能しないかを考察したい. その前に, 私の経歴を紹介する. 私は医学部6年の時にECFMGの医学の試験と英語の試験にパスし, 卒業後直ちにわが国で全く臨床教育を受けず米国でインターンを始めた. 当時, 米国ではすでにマッチング制度が存在していたが, 私は時期的に間に合わず, 上司の竹下彰先生の紹介でオハイオ州クリーブランドのMt.Sinai Hospitalに勤務した.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。