はじめに
経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention:PCI)の普及は身体的デコンディショニングを軽くし,合併症を軽くすることに成功した。また,薬剤溶出性ステントの登場により弱点であった再狭窄の問題は改善されたが,現在においても死亡,心筋梗塞の心血管イベント抑制効果はみられていない。
虚血性心疾患に対する心臓リハビリテーション(心臓リハビリ)の効果は確立している。運動療法により血管内皮機能は改善し,動脈硬化の進展は抑制され,側副血行路の発達は促進され,長期予後を改善させることが報告されている1)。米国公衆衛生局(U.S. Public Health Service)の1995ガイドライン2)によると,「心臓リハビリとは,医学的評価,運動処方,冠危険因子是正,教育,およびカウンセリングからなる長期にわたる包括的プログラムである。このプログラムは個々の患者の心疾患に基づく身体・精神的影響を最小限にとどめ,突然死や再梗塞のリスクを軽減し,症状をコントロールし,動脈硬化の進行過程を安定化または退縮させ,心理社会的および職業的状況を改善することを目的とする」と定義されている。つまり心臓リハビリによるプラーク安定化や予後改善は,定義に含まれるほど明白な事実である。しかし,わが国において,心臓リハビリの実施状況はPCIの実施に比較して著しく低率であるのが現状である。本稿では,急性冠症候群(acute coronary syndrome:ACS)の二次予防に関して,心臓リハビリの必要性,有効性,現状と課題について概説する。
KEY WORDS
プラーク安定化,血管内皮機能,外来通院型心臓リハビリテーション,リスク層別化
全文記事
急性冠症候群の最近の動向
治療 急性冠症候群における心臓リハビリテーション
Cardiac rehabilitation after acute coronary syndrome
掲載誌
CARDIAC PRACTICE
Vol.22 No.2 59-65,
2011
著者名
荒川鉄雄
/
後藤葉一
記事体裁
特集
/
全文記事
疾患領域
循環器
診療科目
一般内科
/
循環器内科
/
心臓血管外科
/
リハビリテーション科
/
老年科
媒体
CARDIAC PRACTICE
Key Words
プラーク安定化
/
血管内皮機能
/
外来通院型心臓リハビリテーション
/
リスク層別化
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。