はじめに
 わが国は,世界に類を見ない急速なスピードで超高齢者社会へ突入した。「老人病」としての疾患群が著しく増加し,今後もその一途を辿るであろう。この30年あまり,慢性心不全では長期予後が重要視され,大規模臨床試験という手法を用いて新たな知見を生み出してきた。β遮断薬(BB)に限っても,延べ2万人以上に及ぶ対象者を用いて研究が繰り返され,国内外のガイドラインに反映されている。しかしながら,心不全診療の主役たる高齢者では推奨治療の遵守率が低く,問題視されている。高齢者を対象とした治療効果のエビデンスがほとんどない,合併症や忍容性の問題で投与や増量をためらう場合が少なくない,という背景があろう。
 高齢者心不全でのBBの忍容性については,これまで唯一検討されたのがCOLA Ⅱ試験1)である。高齢になるほど優位にカルベジロールの忍容性は低下したが,忍容率はいずれも75%を上回り,良好な忍容性があると結論付けた。しかし,非盲検下試験であり,推奨用量の1/4に過ぎない目標量を忍容性の判断基準においた点が批判を浴びている。そこで,BBの最大推奨量を標的とし,高齢者心不全例での忍容性を二重盲検下で検討した初めての大規模臨床試験がCIBIS-ELD試験2)3)である。
 
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 CIBIS-ELD
                  掲載誌
                
 
                  CARDIAC PRACTICE
                  Vol.22 No.1 83-85,
                  
                    2011
                  
 
                    著者名
                  
  
                          猪又 孝元
                        
 
                    記事体裁
                  
  
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                    疾患領域
                  
  
                          循環器
                        
                    診療科目
                  
  
                          一般内科
                        / 
                          循環器内科
                        / 
                          心臓血管外科
                        / 
                          老年科
                        
 
                    媒体
                  
 
                      CARDIAC PRACTICE
                    
 
          ※記事の内容は雑誌掲載時のものです。