ガイドラインに基づいた心不全の非薬物療法
ガイドラインに基づいた治療戦略 心臓移植
Heart transplantation
CARDIAC PRACTICE Vol.22 No.1, 61-66, 2011
はじめに
心臓移植とは,従来ある治療法では救命しえない重症な心不全患者に対して,脳死者からの健康な心臓を患者の不全心と置換する治療法である。2010年の国際心肺移植学会(ISHLT)の報告によると,全世界でこれまでに行われた心臓移植は89,000例に及び,年間およそ3,000例が行われている1)。一方,わが国では1997年に脳死移植法が施行されたが,その後約2年間提供はなく1999年2月に法施行後初の心臓移植が大阪大学で行われた2)3)。その後もわが国の臓器移植法の壁にはばまれ一向に提供数は増加せず,2010年11月末までに移植を受けることのできた症例はわずかに82例に過ぎない。その間,日本臓器移植ネットワークに登録され待機中に147名の尊い命が失われた。これはこれまで登録された症例の実に32%に及ぶ。
KEY WORDS
心臓移植,免疫抑制療法,拒絶反応,移植心冠動脈病変,感染症
主な略語
ISHLT:国際心肺移植学会
MP:メチルプレドニゾロン
PRD:プレドニン
CNI:カルシニューリン阻害剤
CsA:シクロスポリン
MMF:ミコフェノール酸モフェチル
CAV:移植心冠動脈病変
心臓移植の適応
1.適応疾患
心臓移植の適応疾患は,拡張型心筋症および拡張相肥大型心筋症,虚血性心筋疾患,その他(日本循環器学会および日本小児循環器学会の心臓移植適応検討会で承認する心臓疾患)である。
2.適応条件
適応条件として,不治の末期的状態にあり,①長期間または繰り返し入院治療を必要とする心不全,②β遮断薬およびACE阻害薬を含む従来の治療法ではNYHAⅢ~Ⅳ度から改善しない心不全,③現存するいかなる治療法でも無効な致死的重症不整脈を有する症例で,年齢は60歳未満が望ましい。
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※記事の内容は雑誌掲載時のものです。