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ガイドラインに基づいた心不全の非薬物療法

ガイドラインに基づいた治療戦略 補助人工心臓

Therapeutic strategy for severe heart failure with ventricular assist device according to guideline

許俊鋭

CARDIAC PRACTICE Vol.22 No.1, 55-60, 2011

はじめに
 補助人工心臓(ventricular assist device:VAD)の開発は1960年代に始まるが,初期のVADの臨床適応は開心術後心不全(体外循環離脱困難および術後早期の心不全)であり,手術侵襲からの自己心機能の回復(bridge to recovery:BTR)を目的としたものであった。最近では,慢性心不全も含めてVAD装着とともに薬物治療・外科治療・心臓再同期療法・免疫吸着療法・再生医療などを組み合わせて用い自己心機能の回復をはかり,VADよりの離脱生存を目的とした治療をBTR,あるいは治療へのブリッジ(bridge to therapy)などと呼ばれている。

KEY WORDS
Ventricular assist device,Implantable VAD,Bridge to transplantation,Destination therapy,Bridge to recovery,Bridge to bridge,Bridge to indication,Bridge to decision

はじめに(続き)

 1960年代に米国でスタートした人工心臓プロジェクトは,究極の心臓移植代替治療としての完全埋め込み(totally implantable)・完全置換型人工心臓(total artificial heart:TAH)を目指したものであった。2001年のAbioCorの完成まで30年以上を要したが,長期耐久性においていまだ完成に至らない。一方,心臓移植へのブリッジを目指したVAD治療(bridge to transplantation:BTT)は,1980年以後の心臓移植治療の普及とともに飛躍的な発展をみた。1990年代はNovacor®やHeartMate®(IP,VE,XVE)などの第1世代の拍動流植込型LVAD(図1)が用いられ,2000年に入り小型・長期耐久性に優れた第2世代・第3世代の定常流LVAD(図2)が開発された。

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