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ガイドラインに基づいた心不全の非薬物療法

ガイドラインに基づいた治療戦略 手術療法(左室形成術)

Surgical intervention for severe congestive heart failure

松居喜郎

CARDIAC PRACTICE Vol.22 No.1, 49-54, 2011

はじめに
 難治性心不全を呈する心疾患は高度な心筋障害を有していることが多い。いわゆる心筋症は文字通り心筋の疾患であり,拡大した心臓に対する左室形成や合併する僧帽弁逆流に対する僧帽弁形成術は,健常心筋の残存の程度により手術成績が依存し,その効果に限界があるのは当然であり,きわめて重症の心不全に対しては植え込み型人工心臓や心臓移植が選択すべき治療法である。しかし劇的な症状の改善の反面,人工心臓では人工物である以上,感染,血栓,機械的トラブルの可能性は常にあり,心臓移植では術後免疫療法のみならず,生活制限の厳重な管理を一生涯有する等適応には慎重であるべきである。左室形成術に多くの限界はあるが,従来の手術法の適応から離れた例でも著明な改善を長期に示すことも多くみられ,特に心臓移植が主にドナー不足から未だ一般的でないわが国では,手術適応や術式の検討による積極的評価が重要と思われる。

KEY WORDS
難治性心不全,虚血性心筋症,拡張型心筋症,左室形成術,機能性僧帽弁逆流

心筋症の分類

 拡張型心筋症(dilated cardiomyopathy:DCM)は心室の拡大と収縮能の著しい低下をきたす疾患である。外科的には非虚血性と虚血性に分類されることが多い。

1.非虚血性拡張型心筋症(non-ischemic dilated cardiomyopathy:NIDCM)

 特発性が多いが,弁膜症性心筋症,高血圧性心筋症,炎症性心筋症,代謝性心筋症等も含まれることがある。特発性DCMは組織診断でも,心筋細胞の肥大,核の変形と大型化,心筋細胞の変性,間質の線維化等があるが,特異的な病変は存在せず確定診断の材料とはならない。このように非虚血性心筋症はきわめて広範な疾患群をすべて取り入れた概念であり,臨床的にも軽症例から重症例まで幅広い。

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