「SUMMARY」サルコぺニアは骨格筋量減少を特徴とする疾患である。肝硬変におけるサルコペニアの頻度と予後との関連,またBCAA製剤のサルコペニア合併肝硬変に対する効果について検討した。サルコペニアは肝硬変に68%と高頻度に合併し,予後不良因子であった。BCAA製剤はサルコペニア合併患者の予後を有意に改善したが,非サルコペニア合併患者への効果は認めなかった。サルコペニア合併肝硬変に対するBCAA製剤の効果についてさらなる検討が必要である。
「Ⅰ 目的」肝臓は糖質・たんぱく質・脂質など栄養素の代謝制御の中心的な役割を担う臓器であるため,肝硬変患者はたんぱく質・エネルギー低栄養状態(protein energy malnutrition;PEM)やサルコペニアを高頻度に合併する1)-3)。PEMに対しては経口分岐鎖アミノ酸(branched chain amino acids;BCAA)製剤を含めた栄養療法を行うことで,患者のQOLや予後の改善が得られる4)。