「Point」肝硬変患者における体液コントロールは,全身管理を行ううえで重要である。今回,水分出納や体重,腹囲,尿素窒素(BUN),血清カリウム(K)をメルクマールとして効果を確認しながら治療を進め,計31日間の経過で,腹水および意識の改善が得られた症例を報告する。経腸栄養製品と利尿薬の種類が複数あるなかで,どれを選択するかが重要となる。
「Ⅰ.はじめに」今回,外傷性脳出血により東名厚木病院に入院し脳神経外科において加療するなか,栄養サポートチーム(nutrition support team;NST)が既往の肝硬変に対する栄養療法に介入した症例を経験したので報告する。
「Ⅱ.肝硬変の栄養・食事療法」肝硬変の栄養・食事療法においては,エネルギー必要量やたんぱく質必要量など栄養基準量がある1)(表1)。肝硬変では,肝臓における尿素回路が障害され,たんぱく質に対する耐用量が低下するため,1日の摂取たんぱく質量を1.0g/kg/日に制限する1)。