【特集 サルコペニアの定義と臨床的意義】
特集にあたって
掲載誌
栄養-評価と治療
Vol.31 No.4 12-13,
2014
著者名
調 憲
記事体裁
抄録
疾患領域
栄養管理
診療科目
糖尿病・代謝・内分泌科
媒体
栄養-評価と治療
サルコペニア(sarcopenia)は1989年に米国のRosenbergが提唱した概念で,サルコ=筋肉+ペニア=減少を示す造語で骨格筋減少症を意味している。サルコペニアは,人類が経験したことのないスピードで急速に進行する高齢化社会の到来を背景に注目を集めている。高齢化に対応した疾患治療が重要になってきており,さらに筋肉減少がさまざまな疾患に関与していることが明らかになってきたからである。サルコペニアは加齢に伴う原発性(1次性)とさまざまな疾患に伴う2次性に分けられる。私の専門とする肝疾患の臨床では,特に肝機能低下によるエネルギー消費の亢進や栄養障害が原因として挙げられる。また,癌においてもカヘキシアの症状の1つとして報告されている。筋肉量を規定する代表的な因子として,運動量や分岐鎖アミノ酸(BCAA)を代表とする栄養状態が挙げられる。また,慢性の炎症はサルコペニアの原因となり,insuline-like growth factor(IGF)をはじめとした液性因子(myokine)なども関与していることが報告されているが,いまだ不明の点が多い。サルコペニアはさまざまな因子の複合によって発症する病態と考えられるため,その因子の本格的な解明はこれからである。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。