用語解説
哺乳類ラパマイシン標的たんぱく質経路
mTOR pathway
栄養-評価と治療 Vol.31 No.3, 52-55, 2014
「POINT」ラパマイシンの標的分子として発見されたmTORは, さまざまな細胞生理反応を制御するリン酸化酵素であり, 栄養・エネルギー状態やストレスを感知することでたんぱく質翻訳や細胞骨格調節, オートファジー制御などにおいて重要な役割を果たす. 富栄養条件や増殖因子により誘導されるmTOR経路の活性化は, 糖脂質代謝異常や発癌に深く関わっており, そのメカニズムの解明が治療薬の開発に結びつくことが期待されている.
「I はじめに」哺乳類ラパマイシン標的たんぱく質(mammalian target of rapamycin;mTOR)は多くの細胞生理反応を制御するセリン/スレオニンリン酸化酵素であり, ラパマイシン(rapamycin)という薬剤の細胞内標的分子として発見された. はじめ酵母において見いだされたtarget of rapamycin(TOR)は, のちに哺乳類のホモログが見いだされ, mTORと命名された.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。