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特集 栄養管理における微量元素

慢性疾患と亜鉛欠乏

Zinc deficiency has various chronic diseases and symptoms

倉澤隆平

栄養-評価と治療 Vol.31 No.3, 46-48, 2014

「SUMMARY」常識的に考えられるより, 多彩な症状の多数の亜鉛欠乏症患者が存在する. その症状は, 経験したものだけでも味覚障害はもちろん食欲不振, 褥瘡をはじめとし, さまざまな皮膚症状・皮膚疾患, 舌痛などの舌・口腔咽頭症状, 貧血や慢性の下痢, さらには精神症状や元気度にまで及ぶものである. その謎が, 最近の臨床におけるnarrative evidenceの積み重ねと疫学調査, 分子生物学的亜鉛生物学などの進歩より, 明らかになりつつある.
「I はじめに1)」2002年, 筆者は多彩な症状の多数の亜鉛欠乏症患者の存在に気づいた. それまで医師や栄養学者らの間で, 人体にたった2~3gほどしか含まれない微量元素である亜鉛の欠乏症は, 「まれにしか存在しないもの」と考えられてきた. さらに, たった1種類の微量元素, 亜鉛の欠乏からそのように多彩な臨床症状の, 多数の欠乏症患者の存在は常識ではとても考えられないと, 多くのいわゆる専門医たちに拒絶反応さえ示されてきた.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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