「SUMMARY」地域包括ケアシステムのなかで, 栄養ケア・食支援は重要な意味をもつ. 在宅での栄養管理を求める療養者のニーズの多くは口から食べる支援であり, それらを整えていくためには, 食事だけではなく口腔ケア, 嚥下リハビリテーション, 摂食姿勢, 食具, 一口量, ペース, 食事介助法, 呼吸リハビリテーションなど多視点によるトータルでの環境調整・支援が必要である. 「I 地域包括ケアシステムと食支援」地域包括ケアシステムは, 要介護状態になっても, 高齢者が尊厳を保ちながら住み慣れた地域で自分らしい暮らしを最期まで続けることができるよう, 住まい, 医療, 介護, 予防, 生活支援が一体的に提供できる体制を指す. このシステムを構築するためには, 高齢者に対する支援とそれを支える社会基盤の整備が必要であり, なかでも栄養ケア・食支援は重要な意味をもつ. 地域住民に対する栄養ケアには特定保健指導や介護予防事業, 通所施設での栄養改善事業, 居宅療養管理指導, 施設内での栄養ケア・マネジメント, 医療機関での栄養管理加算やNST加算, 外来・入院栄養食事指導などさまざまなものがあるが, なかでも要介護状態にある高齢者の居宅での栄養ケアとして位置づけられているのが, 居宅療養管理指導である.
「KEY WORDS」地域包括ケア,食支援,摂食・嚥下障害,訪問栄養指導,終末期ケア