特集 高齢者の栄養管理
過栄養に対する介入の重要性
Overnutrition in the elderly
栄養-評価と治療 Vol.30 No.3, 20-22, 2013
「SUMMARY」高齢者の過栄養を反映する肥満は, 内臓脂肪の増加とともに筋肉量の減少を伴うsarcopenic obesityを特徴とするため, 体格指数(BMI)単独による評価は難しい. 自立(前期)高齢者において, 内臓肥満の是正は壮年者と同様に心血管イベントや死亡リスクの軽減に対して有用と考えられるが, 減量介入時には食習慣のQOLを保ち, 運動を併用して筋肉量を維持するなどの配慮を要する. 「I はじめに」高齢者全般, 特に生活機能障害を有する虚弱高齢者で問題となるのは主に低栄養であり, 過栄養を反映する肥満が健康上の問題となることが報告されているのは, 主に自立した前期高齢者に限られる. 加えて高齢者の肥満は壮年者とは異なり体格指数(BMI)単独による評価が難しく, また治療も食事制限による減量のみではむしろ弊害が上回るとされている. 本稿では, 高齢者の過栄養すなわち肥満の特徴と評価および治療介入について概説する.
「KEY WORDS」sarcopenic obesity,内臓肥満,ウエスト周囲長,除脂肪体重,運動療法
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。