特集 高齢者の栄養管理
高齢者の栄養疫学,生命予後への影響
Nutritional epidemiology of older adults, impact of nutrition on life expectancy
栄養-評価と治療 Vol.30 No.3, 16-19, 2013
「SUMMARY」地域代表性のある高齢者サンプルを長期追跡した疫学研究をもとに, 高齢期の栄養状態と生命予後との関係を論じた. 体格指数(BMI)と3つの血中バイオマーカーから総合的に栄養状態を評価しその後8年間追跡した結果, 低栄養状態と評価された高齢者(対象者の約3分の1が該当)では心血管病死亡が多く生命予後が悪かった. 高齢者の栄養管理においては低栄養予防の視点が大切である. 「I 高齢者の栄養状態を何で評価するか」通常, 栄養状態の評価は, 食物摂取および栄養指標の2方面から行われる. しかし, 一般の在宅高齢者のふだんの食物摂取状況を正確に把握することは難しい. 秤量調査あるいは日誌法では他人に食卓を見られることへの意識から, ふだんより1品2品増えることがよくある. また, 思い出し法は記憶による正確さに難点があり, さらに食物摂取頻度調査では, 高齢者の食物摂取サイズが若年者より小さいため, 概して摂取量は高めに推計される.
「KEY WORDS」高齢者,栄養疫学,低栄養,心血管病,生命予後
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。