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ICU患者の栄養管理

免疫強化栄養

Immune-enhancing nutrition

福島亮治

栄養-評価と治療 Vol.29 No.4, 32-35, 2012

SUMMARY
特別な栄養法を施行することによって宿主の生体防御能,免疫能を強化,調整することを目的とした栄養法がimmunonutrition(免疫栄養法)と呼ばれている。具体的には,①早期経腸栄養による腸管や全身の免疫能の維持・賦活,②アルギニン,グルタミン,ω-3系不飽和脂肪酸,抗酸化物質などの特定の栄養成分を栄養学的必要量以上に投与して免疫能を増強,あるいは過剰な炎症反応を調整することなどが含まれる。

KEY WORDS
■免疫栄養法 ■早期経腸栄養法 ■IED(immune-enhancing enteral diet)  ■IMD(immune-modulating enteral diet)

Ⅰ はじめに

 栄養状態が悪いと免疫能が低下することはよく知られており,免疫能を維持するためには低栄養を改善し栄養状態を良好に保つ必要がある。また一歩進んで,宿主の生体防御能,免疫能をさらに強化,あるいは調整することを目的とした特別な栄養法があり,immunonutrition(免疫栄養法)と呼ばれている。これは,栄養状態が不良な場合のみならず,良好な場合において生体防御能をいっそう高めることも視野に入れている。具体的には,①早期経腸栄養による腸管や全身の免疫能の維持・賦活,②特別な栄養成分を栄養学的必要量以上に投与して免疫反応を増強,あるいは過剰な炎症反応を調整することなどが含まれる。特別な栄養素としては,アルギニン,グルタミン,ω-3系不飽和脂肪酸,抗酸化物質などが注目されている(表1)。

Ⅱ 早期経腸栄養法

 腸管経路で栄養を投与することは,同じ栄養を経静脈的に与える場合と比べて生理的であるということのほか,免疫能維持の観点からも明らかに優れていることが,実験的にも臨床的にも明らかにされている。しかも経腸栄養は可能なかぎり侵襲後早期から行うことが効果的であり,数日を経てからの投与ではその有効性が低下するとの見解が多く認められている1)2)。「早期」の明確な基準はないが,36時間以内の早期経腸栄養とそれ以降に開始する晩期経腸栄養の効果を比較した15の論文,753例を対象としたメタアナリシスによれば,早期経腸栄養が行われた群では晩期群に比べて感染症が約50%減少した。しかも,解析対象となった報告の大多数の早期経腸栄養は,侵襲後24時間もしくは12時間以内に行われていた2)。このようなことから,現在の各種栄養ガイドラインでは,ICU患者における早期経腸栄養の有用性に関して,ほぼコンセンサスが得られている3)-5)。
 経腸的な栄養投与が生体防御能を高める理由としては,腸管のバリア機能が維持され,腸管内の細菌や毒素が全身へ侵入するbacterial translocationが抑制されること,腸管が全身の最大の免疫臓器であり(生体の免疫組織の50%以上が腸管に存在する),サイトカイン産生や好中球活性化などに深く関与していること6),腸管が蛋白アミノ酸代謝でも重要な役割を担っていることなどが考えられている。

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