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ICU患者の栄養管理

特集にあたって

山口芳裕

栄養-評価と治療 Vol.29 No.4, 16-17, 2012

 ICUの栄養管理はその成否が患者の転帰を左右するほど重要なものである。その特徴は,対象がそれぞれに複雑な代謝動態を呈するため,それを十分に評価・分析してその時々に最も適合した栄養管理を施行しなければならないことにある。さらに全身性炎症反応症候群(SIRS)や多臓器不全症候群(MODS)を随伴していることが多いため,それらが代謝動態や栄養管理に与える影響をも十分に考慮した栄養管理を行わなければならない。

 Surviving Sepsis Campaign Guidelineの中に強化インスリン療法(intensive insulin therapy)が取り上げられるなど,今日多くの救急医・集中治療医たちが栄養管理の重要性を認識しているが,その一方でICUでの栄養管理の複雑性ゆえに,①投与経路の選択,②免疫強化栄養の効果,③bacterial translocation(BT)やventilator-associated pneumonia(VAP)との相関など,いまだに確立されていない問題点も多い。
 そもそも開発からすでに40年以上が経過し,ICUでの栄養管理に大きなインパクトを与えてきた中心静脈栄養の位置付けでさえ,これを重視する米国静脈経腸栄養学会(ASPEN)と,経腸栄養を重視する欧州静脈経腸栄養学会(ESPEN)との間で未解決である。この重症患者に対する最適な栄養療法をめぐる論争は,2009年に両学会から相次いで出された栄養ガイドラインにそのまま引き継がれているという状態である。
 そこで本特集では,重症病態における代謝動態といった基礎的な事項からBTやVAPとの関係,さらに各種重症病態に対する栄養管理の実際まで,最新の知見を交えながらできるだけ臨床現場の先生方に役立つことを主眼に構成した。また,執筆はそれぞれの領域で最も尊敬する第一線の専門家の方々にお願いした。本特集がICUにおける栄養管理の重要性についての認識をさらに広め,適切な栄養管理により重症患者の治療成績を向上させる一助となることを心より願うものである。

山口芳裕(杏林大学医学部救急医学教室教授)

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