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栄養療法に対する認識と期待

行政の立場から栄養療法に何を期待しているのか

The need for nutrition and diet therapy in nutrition policies

河野美穂

栄養-評価と治療 Vol.29 No.3, 43-45, 2012

SUMMARY
栄養療法の実践は徐々に進んでいるが,高齢化社会が急速に進むなか,必要とされるすべての人々に,必要なときに,質の高い方法での実践が必要であり,そのためには,科学的根拠を集積するための研究や評価体制とともに,健康の保持増進・疾病の予防から治療に至るまでを視野に入れ,実践と研究を両輪とした栄養・食事療法の効果の検証を進め,社会全体で取り組むシステムづくりが求められる。

KEY WORDS
■栄養療法 ■実践 ■科学的根拠 ■研究 ■システム

Ⅰ はじめに

 栄養療法が,必要とされるすべての患者に対し,必要なときに,質の高い方法で実践されることは,回復促進や重症化予防など状態の改善と生活の質(QOL)の向上にとって不可欠である。栄養療法の重要性への理解も,その実践を支えるシステムも徐々に進んではいるが,国際的に,他国に例をみないスピードで高齢化するわが国において,高齢者の増大,それに伴う患者の増大に十分に対応できる栄養療法の実践を促していくためには,栄養療法の質の向上を担保する研究やシステムづくりの一層の充実が求められる。

Ⅱ 栄養療法の実践の基盤づくり

 診療報酬の改定では,2006年度に栄養管理実施加算が新設され,2010年度には栄養サポートチーム加算が新設された。なお,栄養管理実施加算については,2012年度改定で,加算を算定している医療機関が多いことから,栄養管理体制の確保を入院基本料および特定入院料の要件とすることとなった。
 また近年,さまざまな医療現場でチーム医療が実践され,栄養サポートチームの取り組みも充実してきている。厚生労働省においては,2010年3月に「チーム医療の推進に関する検討会」の報告書が,さらに2011年6月にはチーム医療を推進するための方策について取りまとめられ,その具体的事例として,急性期における栄養サポートチームの取り組みや入院患者の状態に応じたきめ細かな栄養管理が取り上げられている1)。

Ⅲ 実践を担う人づくり-専門職としての管理栄養士の育成-

 2000年に栄養士法の改正が行われ,管理栄養士の業務が,「傷病者に対する療養のため必要な栄養の指導,個人の身体の状況,栄養状態等に応じた高度の専門的知識及び技術を要する健康の保持増進のための栄養指導」などと明確化された。生活習慣病の発症と進行を防ぐことが大きな課題となっていることから,その狙いは,管理栄養士が高度な専門知識・技能を有し,栄養評価・判定に基づく適切な栄養指導を行う業務に対応できる体制づくりにあり,管理栄養士養成施設のカリキュラムも大幅に改正された2)。
 2000年度に41施設だった管理栄養士養成施設は,現在(2012年度)では131施設となり,入学定員は1万人を超えている(2000年度の入学定員:2,725人)。このうち大学院の修士課程を有するものが66施設,博士課程を有するものが40施設存在する3)。このように,実践を担う管理栄養士の養成施設数ならびに管理栄養士数は増大した。一方で,医療施設での管理栄養士従事者数は18,000人にのぼるが,病棟における個々の患者の状態に応じた栄養管理の実践に向けて,さらなる専門性の向上をいかに図るかが課題といえる。

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