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栄養療法に対する認識と期待

一般市中病院の外科医からみた栄養療法の可能性と限界

The potential and limitation of the nutritional therapy in regional hospitals in Japan

池田重雄芦川美希小安かおり工藤美香藤井真

栄養-評価と治療 Vol.29 No.3, 31-35, 2012

SUMMARY
術前栄養評価において,低栄養状態の患者の術後合併症率,在院死亡率が高いことが近年報告されている。このため一般市中病院においても,手術の際には術前の栄養状態の評価とその改善が合併症率低下のために重要である。神奈川県下の地域一般病院である当院NSTの昨年1年間の総介入実績は312例であり,そのうち40%の症例にて栄養状態の改善がみられた。しかし残りの60%では効果はみられなかった。また,慢性腎不全により透析治療中の患者に対し,新しいプロバイオティクスであるBB536を投与することで,便秘の改善効果をみることができた。

KEY WORDS
■栄養療法 ■NST ■BB536

Ⅰ はじめに

 以前から,血清アルブミン値を指標とした術前栄養評価において,低栄養状態の患者の術後合併症率および在院死亡率が高いことが国内外のデータより報告されている1)-3)。このため一般市中病院においても手術を施行する際には,術前の栄養状態の評価とその改善は合併症率を低下させるために重要なことである。このたび「一般市中病院の外科医からみた栄養療法の可能性と限界」という大きなタイトルをいただいたが,大学病院やセンター病院との比較といったデータはないので,医療法人新都市医療研究会「君津会」南大和病院での現在の外科における栄養サポートチーム(nutrition support team;NST)の活動の現状,そして外科に限らず当院での栄養療法の実際,特にNSTの活動を紹介しながら,困難症例などで悩んでいることについて簡単に説明する。

Ⅱ 当院の概要

 当院は神奈川県大和市(人口約23万人)の二次救急指定病院である。大和市は神奈川県中央部に位置する中規模都市であり,東京,横浜方面のベッドタウンとしての性格と,神奈川県西部の田園都市としての性格をもっている。当院は,一般病棟112床を備え,1日外来患者数450名,通院透析患者数180名,年間の手術件数約400例(うち,消化器外科126例,整形外科29例,血管外科80例)である。地域の一般病院という性格上,すべての疾患に対して最高の治療を行うことは不可能であるので,癌を含めた消化器疾患の内視鏡治療,外科手術から緩和療法までや慢性腎臓病患者の透析治療,そして呼吸器疾患,リウマチ,糖尿病治療とリハビリ,整形外科疾患の手術とリハビリ,脳外科疾患のリハビリを中心に,スタッフの充実を図っている。

Ⅲ 当院におけるNST活動

 まず,当院でのNSTの活動の現況とその結果について報告する。当院では2001年よりNSTを稼動し,現在は全科稼動型のNSTが活動している。医師,看護師,管理栄養士,薬剤師,言語聴覚士(ST)が全員参加のうえでの週1回のmeetingと病棟の回診により,栄養療法の必要な患者の抽出と管理を行っている。この1年間(2011年4月~2012年3月)のNST介入患者数は312例であった。NST介入前後での栄養状態の比較を図1に示す。

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